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歯科医で話題のバクテリアセラピーのすごさと個人で行う方法

一昔前までは、歯科医は「歯が痛くなってから通うもの」というイメージがありましたが、最近では「痛くなる前に行くところ」という考えにシフトしており、歯科医の役割が「治療」から「予防」へと変わりつつあります。

そうした背景から、近年注目を集めているのが、バクテリアセラピーです。

バクテリアセラピーでは、善玉菌を取り入れることで、口腔内の細菌のバランスを整え、歯周病やむし歯、口臭などを予防していきます。専門医の指導のもと、家庭で手軽に行うことができる予防法です。

このメンテナンス法は予防歯科先進国のスウェーデンをはじめ、欧米ではかなり浸透していますが、日本ではまだ始まったばかり。

最新の予防歯学であるバクテリアセラピーを使って、大切な歯の健康管理に役立ててみてください。

1. 歯科医も推奨する予防医学技術バクテリアセラピー

歯科医も推奨する予防医学技術バクテリアセラピーは、医療先進国であるスウェーデンで開発されました。手術や投薬などの医療行為を必要としない全く新しい手法です。

まずは、バクテリアセラピーとはそもそもなんなのか?なぜ注目を集めているのか?ということについてご紹介していきます。

バクテリアセラピーとは

バクテリアセラピーとは、わかりやすく言えば「口の中も含めた菌活」です。菌活は主に腸内細菌のバランスを整えて体調を整える健康法ですが、バクテリアセラピーでは口腔内(口の中)の菌バランスから整えていきます。

大人の口の中には300〜700種類の細菌が存在し、しっかり歯みがきをする人でも、(清潔な状態で)約1000億個もの細菌が棲んでいると言われています。細菌の中には身体に良い働きをする善玉菌もいれば、悪い働きをする悪玉菌もいます。

腸内環境と同じように、悪玉菌が優位になると、むし歯や歯周病、口臭などを引き起こし、症状が悪化してくると、口腔内の悪玉菌が原因となり、糖尿病や心筋梗塞、認知症、早産、肺炎といった全身の健康へも影響を及ぼすことがわかってきました。

バクテリアセラピーでは優れた善玉菌を摂取することにより、口の中にいる細菌のバランスを整えて体質を改善していきます。通常の歯科治療やメンテナンスに加えて善玉菌を取り入れるだけで、健康維持に役立てることができるでしょう。

また、口の中の菌バランスだけでなく、胃や腸の菌バランスを整えることにも繋がるため、注目度も高くなっています。

バクテリアセラピーはなぜ歯科医師から注目されているのか?

バクテリアセラピーが歯科医師から注目を集めている理由は、「治療」から「予防」の時代へと、歯科のあり方が変わってきていることにあります。

スウェーデンでは、40年前までは子どものむし歯が多い国として知られていましたが、むし歯を「治療する」のではなく「予防する」という考えのもと、国を挙げて予防歯科を導入した結果、むし歯の数を激変させることに成功したのです。

日本でも治療中心の歯科医療から予防医学中心の歯科医療へと少しずつシフトしてきています。スウェーデンでの事例や予防医療への関心の高まりから、国内でも多くの医療機関がバクテリアセラピーを導入し、予防歯科に役立てています。

2. バクテリアセラピーのすごさとは

バクテリアセラピーのすごさとは、その効果が口の中のみならず全身に及ぶところです。バクテリアセラピーを続けることで、次のような効果が期待できます。

・むし歯や歯周病の原因菌を減少させる
・口の中の臭いや不快感が気にならなくなる
・歯こうを分解してむし歯や歯周病を未然に防ぐ
・胃の中のピロリ菌を軽減する
・アレルギー症状を緩和する

3. 歯科医が行うバクテリアセラピーの方法

歯科医が行うバクテリアセラピーの方法は、ヒト由来の乳酸菌を処方するものです。

もともと人体に存在する菌であれば、副作用の心配がなく、子どもから大人まで安心して服用できます。

寝ている間は抗菌・殺菌作用がある唾液の分泌が少なくなるため、悪玉菌が増えやすくなります。寝る前に処方された薬を服用することで、口腔内フローラを良好にすることが期待できます。

バクテリアセラピーは、専門医の指導のもとで行うのが基本ですが、個人で行う場合は、乳酸菌が入った食品を意識して取り入れることをおすすめします。

4. まとめ

今、予防歯科の重要性が叫ばれています。 従来は「痛くなったら治すもの」と考えられていましたが、最近になって「痛くなる前に予防する」という考え方へ変化してきました。

そこで注目を集めているのがバクテリアセラピーです。

バクテリアセラピーとは、善玉菌を増やすことで、悪玉菌の働きを抑える健康法です。

体内の細菌バランスを整えて、全身の健康維持に効果を発揮します。バクテリアセラピーを取り入れて、健やかな身体を手に入れましょう。

監修:森下 竜一 先生

大阪大学大学院医学系研究科臨床遺伝子治療学寄附講座 教授

医学博士。1991年大阪大学医学部老年病講座大学院卒業後、米スタンフォード大学客員講師、大阪大学助教授を経て、2003年より現職。米国高血圧評議会Harry Goldbratt賞、日本医師会研究奨励賞、日本循環器学会佐藤賞、産官学連携推進功労者表彰産官学連携文部科学大臣賞、大学発ベンチャー2016表彰文部科学大臣賞などを受賞。

また知的財産戦略本部本部員、健康・医療戦略本部戦略参与、日本万博基本構想委員、内閣府規制改革推進会議委員などを歴任。

日本血管認知症症学会理事長の他、日本抗加齢医学会、日本遺伝子治療学会などで副理事長を務める。著書に「アルツハイマーは脳の糖尿病だった」(共著)など。

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