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口腔ケアで得られる3つのメリットと口腔ケアをするべき5つの理由

口腔ケアを行うことは、お口の中だけでなく全身に対して多くのメリットがあります。逆に、口腔ケアを怠ることによって被るデメリットも、決して無視できるものではありません。

今回は、口腔ケアによって得られる直接的なメリットと、しないことによる5つのデメリットについてご紹介します。

1. 口腔ケアによって得られる3つのメリット

口腔ケアによって得られる直接的なメリットは、お口の中の環境を整え、正常で健康な状態を保てる点です。具体的には、以下のようなメリットがあります。
 
メリット1)むし歯・歯周病予防
メリット2)唾液の分泌
メリット3)口臭対策
 

メリット1)むし歯・歯周病予防

むし歯・歯周病予防は、口腔ケアで得られる最もわかりやすいメリットです。むし歯は、口腔疾患の中で最も罹る人が多い病気ですし、歯周病も20歳代で約7割、30~50歳代は約8割、60歳代は約9割が発症していると言われています。(歯周病は歯が生えていれば誰でも発症する可能性があります)

むし歯や歯周病は、主に口の中に残った食べ物をエサとして細菌が増殖することが原因で進行します。放置すれば痛みが出て食事がしにくくなるだけでなく、最悪の場合歯を失うことにもなりかねません。

歯を失うことの影響はお口の中だけでなく、全身に広がります。そのため、口腔ケアによってむし歯や歯周病が予防できるというメリットは、それだけにとどまらず、全身の健康を守れることにもなるのです。

こまめなブラッシングや殺菌・消毒などのケアで、むし歯や歯周病は予防することができます。毎日の基本的なケアを大切にしましょう。
 

メリット2)唾液の分泌

唾液の分泌も、口腔ケアによってコントロールできます。唾液は、口の中でとても多くの役割を担っています。

食べ物を溶かしたり、あらゆる刺激から口腔粘膜を保護したり、舌や歯などを円滑に動かして咀嚼や嚥下、呼吸などの口腔機能を助けるのが唾液の主な作用です。抗菌作用により口腔内の微生物をコントロールする働きもあります。

最近は、加齢や薬の影響、ストレスなどにより口腔乾燥症(ドライマウス)に悩む人が増えており、口腔環境の悪化が懸念されます。

ドライマウス対策のケアを行うことで唾液分泌量が確保されれば、唾液がお口の中での役割を果たし、正常な口腔機能の維持をサポートしてくれるでしょう。
 

メリット3)口臭対策

口臭対策にも口腔ケアは欠かせません。口臭の原因の多くは、お口の中にあるからです。

歯周病やう蝕などの病気、舌苔や義歯の汚れなどが慢性的な口臭原因となりますが、寝起きや疲れているときなどには唾液分泌量の減少により、一時的に口臭が発生することもあります。

いずれも、口腔内の汚れや細菌が関係していますので、口腔ケアにより衛生状態を向上させ、細菌をコントロールすることが、口臭予防へとつながるのです。

2. 口腔ケアを疎かにすることによる6つのリスク

口腔ケアをしないことで起こるデメリットは、実はお口の中の問題だけにとどまらず、全身に及ぶことをご存じですか?

口腔ケアは、単なるお口のケアではなく、生活の質をも左右するとても大事なことです。ここでは、口腔トラブルと関係が深いとされている全身疾患の真実についてご紹介します。
 
・認知症の発症
・糖尿病の発症
・インフルエンザなどの感染症
・肺炎や心臓疾患
・転倒による骨折
・生命予後
 

認知症の発症

認知症の発症は、歯の有無と関係していることが最新の研究で指摘されています。2011年に発表された神奈川歯科大学のデータでは、歯を失っている人は20本以上歯が残っている人に比べ、認知症発症リスクが1.9倍になると示されました。

これは、噛む行為が脳の認知機能を高めるのに関係していることに起因すると考えられています。
 

糖尿病の発症

歯周病菌にはインスリンというホルモンの働きを妨げる効果があり、血中の血糖値を高めてしまうことにつながってしまいます。

それにより、糖尿病の発症リスクを高めてしまいます。
 

インフルエンザなどの感染症

インフルエンザなどの感染症は、口腔内の雑菌を介して発症します。口腔内の衛生状態が悪いと、感染症にもかかりやすくなってしまうのです。

口腔ケアにて雑菌を減少させ、衛生状態を良好に保つことで、感染を抑制できるとされています。
 

肺炎や心臓疾患

肺炎や心臓疾患も、歯周病があると発症リスクが高まります。特に高齢者などでは、歯周病菌が唾液を介して肺に流れこんで肺炎になったり、冠動脈に感染して動脈硬化を引き起こしたりした例が報告されています。

命の危険もある重大な疾患を予防するためにも、口腔ケアは大切なのです。
 

転倒による骨折

転倒による骨折は、要介護老人によく起こる事象ですが、これには歯の噛み合わせが関係していると言われています。歯をきちんと噛み締められる人は転倒しそうになっても踏ん張れるため、転びにくいのです。

歯を守って正しい噛み合わせを維持することは、転倒・骨折にまでつながっています。
 

生命予後

お口の健康はさまざまな全身疾患に関係しているため、生命予後にも影響を及ぼすと考えられています。実際に、自分の歯がきちんと機能している人は、そうでない人に比べて死亡率が低いというデータもあります。

口腔ケアは、全身の健康維持のために大きな役割を担っていると言えるのです。

3. 正しい口腔ケア

正しい口腔ケアの基本は、ブラッシングによる汚れや歯こうの除去です。

自分に合った歯ブラシや歯間ブラシ、デンタルフロスなどを使って丁寧に歯を1本1本磨くようにしましょう。

自分では磨ききれない汚れを清掃したり、間違ったケアを避けたりするためには、定期的に歯科医院で検診やクリーニングを受けるのも有効です。

 

バクテリアセラピーもおすすめ

口腔内の菌環境をサポートする方法として、バクテリアセラピーもおすすめです。

バクテリアセラピーには、さまざまな菌を使った方法がありますが、ヒトの口内乳酸菌を使ったバクテリアセラピーは特におすすめです。

口内乳酸菌が含まれたヨーグルトを食べたり、タブレットをなめるだけでできるため、個人でも簡単に取り組むことができます。

しかも、これらの乳酸菌は世界で100以上の国と地域で利用されており、その効果を示す論文も多く公表されています。

4. まとめ

口腔ケアをきちんと行えば、お口の中を清潔で健康に保てるだけでなく、全身の健康を維持することもできます。毎日の正しい口腔ケアで、健康を意識した生活を送るようにしましょう。

監修:森下 竜一 先生

大阪大学大学院医学系研究科臨床遺伝子治療学寄附講座 教授

医学博士。1991年大阪大学医学部老年病講座大学院卒業後、米スタンフォード大学客員講師、大阪大学助教授を経て、2003年より現職。米国高血圧評議会Harry Goldbratt賞、日本医師会研究奨励賞、日本循環器学会佐藤賞、産官学連携推進功労者表彰産官学連携文部科学大臣賞、大学発ベンチャー2016表彰文部科学大臣賞などを受賞。

また知的財産戦略本部本部員、健康・医療戦略本部戦略参与、日本万博基本構想委員、内閣府規制改革推進会議委員などを歴任。

日本血管認知症症学会理事長の他、日本抗加齢医学会、日本遺伝子治療学会などで副理事長を務める。著書に「アルツハイマーは脳の糖尿病だった」(共著)など。

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