お口から、 カラダのこと

Menu

  • #唾液
  • #乾燥
  • #ドライマウス

口腔ケアの注意点とは?間違った口腔ケアは口内環境悪化の原因に

口は身体への入り口であり、口腔内を健康に保つことは、全身の健康へとつながります。

適切な口腔ケアを行えば、身体に悪影響を及ぼす細菌の繁殖を防ぎ、さまざまな病気に罹るリスクを減らすことができます。

健康維持に有効な口腔ケアですが、やり方を間違ってしまうと逆効果になりかねません。特に高齢者においては、重篤な状態に陥ることもあるので、安全に行うことが大切です。

今回は、そんな口腔ケアの注意点をご紹介していきます。

1.口腔ケアの目的

口腔ケアの目的は、口の中を清潔に保つことで、全身の健康を維持することです。

私たちの口の中には300〜700種類の細菌が生息していると言われており、口腔ケアをおろそかにすると、身体に悪影響を及ぼす細菌が爆発的に増殖して、さまざまな病気を引き起こす可能性があります。

 

最近になって、口の中にいる細菌が血管を通って全身を巡り、いろいろな臓器に棲みついては、病気を引き起こしたり、悪化させたりしていることが明らかになりました。例えば、心筋梗塞や糖尿病などは歯周病菌と大きく関係しています。

こうした細菌の繁殖を防ぎ、病気のリスクを低減する方法として有効なのが、口腔ケアです。歯みがきやうがい、粘膜のケアを適切に行うことで、口の中のみならず全身の健康を守ることができます。

 

2.口腔ケアの注意点

口腔ケアを行うことで、虫歯や歯周病、口臭の予防など様々なメリットがありますが、間違ったケアをしてしまうと逆効果になることがあります。

口腔ケアを行う上で、どのようなことに注意をしたらよいのでしょうか。

 

注意1)あごを引く

あごを引くことは口腔ケアのポイントです。あごを引くと口の中に唾液や水分をためておきやすいので、誤嚥を防ぐことができます。

特に、高齢者やむせやすい人は、あごの角度に注意しましょう。

 

注意2)ブラッシングで力を入れ過ぎない

歯みがきで口腔ケアを行う際は、ブラッシングで力を入れ過ぎないよう注意してください。

力を入れてゴシゴシみがいたからといって、その分汚れが落ちるわけではありませんし、乱暴なブラッシングでは歯ぐきや口腔粘膜を傷つけてしまいます。

歯ブラシはペンを持つような形の「ペングリップ」で持ち、毛先が広がらない程度の軽い力で動かしましょう。やさしく丁寧にブラッシングすることを心がけるようにしましょう。

 

注意3)デンタルフロスを歯茎に当てて使用しない

デンタルフロスを奥まで入れて、歯茎にあてた状態でギコギコと何往復もこすっている方は少なくありません。

しかし、歯茎にフロスが接触した状態でこすってしまうと、歯茎を傷つけてしまいます。

デンタルフロスを使用するときは、歯と歯の間にゆっくりとフロスを入れ、歯茎ではなく、歯に沿わせるように上下に動かすようにしましょう。2往復程度すれば、それだけで歯こうはとれます。

そのときに、歯とフロスの接触部分の汚れを落とすようにイメージするとよいでしょう。

 

注意4)歯ブラシをこまめに洗う

歯ブラシをこまめに洗うことも大切です。

歯をみがいた後の歯ブラシには食べ物の汚れや細菌が多く付着しています。そのため、歯ブラシは丁寧に洗い、清潔にしておかないと、また汚れた歯ブラシを口に戻すことになってしまいます。

口腔内を清潔に保つためにも、使用した後の歯ブラシは丁寧に洗うようにしましょう。
 

注意5)就寝前のケアを念入りに

就寝前のケアを特に念入りに行いましょう。

寝ている間は唾液の量が減って、細菌が繁殖しやすくなってしまいます。口腔ケアは毎食後と就寝前の計4回行うのが理想ですが、1日1回しかできない場合は寝る前のケアをおすすめします。

3.まとめ

口腔ケアは、虫歯や歯周病を予防するだけでなく、全身の健康を守るためにとても重要です。

ただし、やり方を間違えてしまうと、身体に負担がかかったり、誤嚥を起こしたりする可能性があります。注意点を守って正しく行いましょう。

監修:森下 竜一 先生

大阪大学大学院医学系研究科臨床遺伝子治療学寄附講座 教授
医学博士。1991年大阪大学医学部老年病講座大学院卒業後、米スタンフォード大学客員講師、大阪大学助教授を経て、2003年より現職。米国高血圧評議会Harry Goldbratt賞、日本医師会研究奨励賞、日本循環器学会佐藤賞、産官学連携推進功労者表彰産官学連携文部科学大臣賞、大学発ベンチャー2016表彰文部科学大臣賞などを受賞。また知的財産戦略本部本部員、健康・医療戦略本部戦略参与、日本万博基本構想委員、内閣府規制改革推進会議委員などを歴任。日本血管認知症症学会理事長の他、日本抗加齢医学会、日本遺伝子治療学会などで副理事長を務める。著書に「アルツハイマーは脳の糖尿病だった」(共著)など。

おすすめ記事

関連記事