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むし歯の原因は歯こうと菌!この2つを防げばむし歯対策はOK

むし歯が自然に治ることはありません。

初期の段階では自覚症状がないため、気がつかないうちに少しずつ進行していきます。

そこから徐々に痛みを感じるようになり、治療を始めるかと思いますが、痛みを我慢してしまうと、最悪の場合は歯を失ってしまう可能性もある恐ろしい病気です。

せっかくむし歯を治療したとしても、生活習慣や意識が変わらなければ再びむし歯になってしまうでしょう。大切な歯をむし歯から守るために、原因をきちんと把握しておくことが大切です。

今回は、むし歯の原因と予防について解説していきます。むし歯の原因がわかっていれば、適切な対策がとれますので、むし歯のない健康的な歯を目指していきましょう。

1. むし歯とは?

むし歯とは、簡単に言うとむし歯菌の出す酸によって徐々に歯を溶かされていく病気です。歯周病と並び、口腔内の二大疾病の一つに数えられています。初期を除いては自然治癒することなく、放置しているうちにどんどん悪化してしまいます。

初期の段階では自覚症状がないため、気付いた時には重症化していることもすくなくありません。また、一度治療をしても再発しやすく、最悪の場合は抜歯に至ることもあります。

そのため、むし歯は早期発見・早期治療が何より大切です。

むし歯治療で一度削った歯は決して元に戻らないので、溶けた部分に歯の代用となる詰め物や被せ物をして治療するしかありません。

少しでも長く自分の歯を使っていくためには、治療以上に予防が重要であり、しっかり予防さえすればむし歯になるリスクを大幅に減らすことができるでしょう。

2. むし歯の原因となる2大要素

むし歯の原因となる2大要素は、歯こうと菌です。むし歯の原因菌であるミュータンス菌は、食べ物や飲み物に含まれる糖分をエサに増殖し、その際にグルカンと呼ばれるネバネバした物質を作ります。

このネバネバ物質によって、ミュータンス菌は歯に付着しやすくなり、そこを絶好のすみかとします。この細菌の集合体が「歯こう」です。一見、食べ残しや食べかすのように見えますが、実は細菌の塊なのです。

歯こうはきちんと歯みがきをすれば取り除けますが、歯こうが硬化して「歯石」になるとブラッシングでは除去できません。歯こうや歯石の中はミュータンス菌だらけなので、そのまま放置しているとますます口腔環境が悪化します。

それと同時に、ミュータンス菌は酸も作り出します。歯はこの酸にとても弱いのです。もともと中性だった口の中はどんどん酸性に傾いて、歯の表面にある硬いエナメル質を溶かし、穴を開けます。これがむし歯のできる仕組みです。

3. むし歯の予防方法

むし歯の予防方法は、次の2通りあります。
 
予防法1)歯こうを作らない
予防法2)酸から歯を守る
 

予防法1)歯こうを作らない

歯こうを作らないことが、むし歯予防の基本です。毎日の歯みがきで歯こうをしっかり落としましょう。歯こうがつきやすい歯と歯の間や歯と歯ぐきの境目、奥歯を嚙みあわせる部分は特に念入りにブラッシングしてください。

歯ブラシではどうしても届かない部分は歯間ブラシやデンタルフロスを併用して、歯と歯の隙間にこびりついた歯こうも根こそぎ除去しましょう。

ただ、それだけやっても完璧に歯こうを除去できるわけではないため、歯科医院で定期的にクリーニングしてもらい歯こうや歯石を取ることをおすすめします。

歯みがきの他に歯こうを減少させる方法として、バクテリアセラピーが挙げられます。

バクテリアセラピーとは、ヨーロッパで誕生した最新の予防医学で、善玉菌を取り入れて、口腔内の菌バランスを整えることで、むし歯など口の中のトラブルを予防します。
 

予防法2)酸から歯を守る

酸から歯を守ることは、むし歯を予防するために大切です。ミュータンス菌は糖分を栄養源にして酸を作り出します。この酸がむし歯を作る直接的な原因となるので、そもそも酸を作らせないことが重要になってきます。

酸の産出を防ぐために、むし歯菌のエサになる糖分がたくさん含まれた甘いお菓子やジュースはできるだけ控え、甘い物を食べたあとは歯みがきするか、口をすすぐようにしましょう。

ダラダラ食いや暴飲暴食は禁物です。

4. まとめ

むし歯ができる主な原因は、歯こうと酸です。口の中にいるむし歯菌は、食べ物の中に含まれる糖をエサにして増殖し、歯こうを形成すると同時に酸を出して、歯を溶かしていきます。

このメカニズムをきちんと把握しておけば、むし歯に対して適切なケアと予防ができるでしょう。歯こうを作らないこと、酸から歯を守ることを意識しながら、歯みがきやうがいで口の中を清潔に保つよう心がけてください。

歯みがきやうがいの他の対策として、バクテリアセラピーで口腔内の細菌バランスを整える方法があります。悪玉菌の働きを抑制することで、ミュータンス菌による酸の産出や歯こうを減らすことができるでしょう。

監修:森下 竜一 先生

大阪大学大学院医学系研究科臨床遺伝子治療学寄附講座 教授

医学博士。1991年大阪大学医学部老年病講座大学院卒業後、米スタンフォード大学客員講師、大阪大学助教授を経て、2003年より現職。米国高血圧評議会Harry Goldbratt賞、日本医師会研究奨励賞、日本循環器学会佐藤賞、産官学連携推進功労者表彰産官学連携文部科学大臣賞、大学発ベンチャー2016表彰文部科学大臣賞などを受賞。

また知的財産戦略本部本部員、健康・医療戦略本部戦略参与、日本万博基本構想委員、内閣府規制改革推進会議委員などを歴任。

日本血管認知症症学会理事長の他、日本抗加齢医学会、日本遺伝子治療学会などで副理事長を務める。著書に「アルツハイマーは脳の糖尿病だった」(共著)など。

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