口臭はとてもデリケートな問題なので、自分からも他人からも話題にしづらいものです。
そのため、誰にも相談できず口臭に悩んでいる人はたくさんいますが、どうすれば気になる口の臭いを解消できるのでしょうか。
口臭の原因はさまざまですが、実はその大半は口の中にいる細菌にあります。
今回は、菌の力を味方につけて口臭を根本から改善する方法をお伝えします。
1. 口臭の原因は口の中の細菌
口臭の原因は口の中の細菌によるものがほとんどです。成人の口の中には、よく歯みがきする人でも500種類以上で1000億個以上(清潔な状態で)の菌が生息していると言われています。
しかし「菌=悪」ということではありません。口の中には善玉菌と悪玉菌が存在し、口腔内の均衡を保っていれば大丈夫ですが、このバランスが崩れて悪玉菌が優勢になってしまうと、口腔内のトラブルが多発するのです。
菌バランスが整っているときは、善玉菌が悪玉菌の働きを阻害しますが、悪玉菌が優勢になってしまうと口臭が発生してしまいます。
2. 口臭の原因菌を取り除くには
口臭の原因菌を取り除く方法として広く知られているのが、毎日の歯みがきですが、「歯みがきを頑張っているのに、どうしても口臭がなくならない」と悩んでいる人はたくさんいます。
いくら丁寧なブラッシングで悪玉菌を除去して口の中がきれいになったと思っても、悪玉菌が増えやすい体内環境であれば再び悪玉菌が繁殖してしまい、いつまでたっても口臭がなくならないでしょう。
口臭の原因を根本からなくすには、口の中の菌バランスを整えていくことが一番です。
悪玉菌優勢の状態から、善玉菌を増やしていき適正な菌バランスにすることで、口臭を防いでいきます。
また、口の中だけでなく胃や腸の善玉菌を増やし、菌バランスを整えていくとさらに効果的です。
特に、腸の善玉菌が増え、菌バランスが整ってくると腸の蠕動運動(ぜんどううんどう)が活発になり、スムーズな排便が促されます。腸内にたまった老廃物や毒素が体外に排出されるため、口臭以外の臭い対策にも有効です。
3. 善玉菌を増やして口臭を予防する方法
善玉菌を増やして口臭を予防する方法として、最もおすすめなものは口の中の菌環境を整えることができるバクテリアセラピーです。
バクテリアセラピーでは、口の中だけでなく胃や腸など、体全体の菌バランスを整えることができるため、口臭予防だけでなく健康のためにもおすすめです。
バクテリアセラピーが難しい場合は、菌活をおすすめします。
菌活は腸内環境を改善することで、体全体の菌バランスを整えていくものですので、直接口の中の菌環境を整えることは難しいですが、続けていくことで効果が期待できます。
菌活は、善玉菌を豊富に含むキノコや発酵食品を意識的に食べるだけですので、誰でも簡単に始められますし、費用も安いため続けるのも容易です。
また、バクテリアセラピーと菌活は平行してやるとさらに効果が期待できるため、気になる場合はどちらもやってみてはいかがでしょうか。
4. まとめ
口臭が発生する大きな原因の一つに、口の中の菌バランスが挙げられます。
つまり、細菌のバランスを整えることが口臭予防で重要であり、悪玉菌のに傾いてしまっているバランスを、善玉菌を摂取することで正常に戻していくことが大切です。
善玉菌が優位な体内環境に整えるには、身体の外から善玉菌を取り入れることがポイントです。
最もおすすめなのはバクテリアセラピーですが、難しい場合は善玉菌を含む食材を日頃から積極的に食べる菌活でも大丈夫です。
口の中にいる細菌のバランスを整えて、さわやかな息を手に入れてください。
監修:森下 竜一 先生
大阪大学大学院医学系研究科臨床遺伝子治療学寄附講座 教授
医学博士。1991年大阪大学医学部老年病講座大学院卒業後、米スタンフォード大学客員講師、大阪大学助教授を経て、2003年より現職。米国高血圧評議会Harry Goldbratt賞、日本医師会研究奨励賞、日本循環器学会佐藤賞、産官学連携推進功労者表彰産官学連携文部科学大臣賞、大学発ベンチャー2016表彰文部科学大臣賞などを受賞。
また知的財産戦略本部本部員、健康・医療戦略本部戦略参与、日本万博基本構想委員、内閣府規制改革推進会議委員などを歴任。
日本血管認知症症学会理事長の他、日本抗加齢医学会、日本遺伝子治療学会などで副理事長を務める。著書に「アルツハイマーは脳の糖尿病だった」(共著)など。