バクテリアセラピーは、欧米で人気の口腔ケアであり、日本でも一部の歯科クリニックで受けられるようになってきました。
ただ、聞き馴染みのない方にとっては「バクテリアセラピーに副作用はないの?」と気になってしまう方も少なくありません。
どんなにいいものでも、副作用があるとしたら、安心して菌を使った口内ケアを受けることができませんよね。
そこで、今回はバクテリア健康法の中でもロイテリ菌を使ったものに焦点をあて、バクテリア健康法に副作用がないかどうかをご紹介していきます。
ロイテリ菌を使ったバクテリア健康法には副作用は「ない」とされており、なぜ副作用がないと考えられているのか?その根拠を5つご紹介していきます。
1. バクテリア健康法に副作用がないとされる根拠
ロイテリ菌を使ったバクテリア健康法に副作用がないとされている根拠は、次の5つです。
根拠1)ヒト由来の善玉菌だから
根拠2)これまでに副作用の報告がないから
根拠3)安全性試験で安全性が認められているから
根拠4)アメリカ食品医薬局が認定しているから
根拠5)機能性表示食品として届け出がされているから
根拠1)ヒト由来の善玉菌だから
ロイテリ菌が、母乳などにも含まれるヒト由来の善玉菌であることが、根拠のひとつです。
2008年に発表された研究で、日本やスウェーデンなどの8つの国と地域の220名の授乳中の母親から母乳が採取され、その成分が分析されました。その結果、7人に1人の割合で、ロイテリ菌が検出されました。
母乳を飲み、子供が副作用を起こすことは、母親が何かの化学物質に汚染されているなどの特別な場合を除けば極めて少ないでしょう。
また、製品に用いられ普及しているロイテリ菌は安全な母乳内のロイテリ菌をもとに培養したものなので、リスクはないと報告されています。
根拠2)これまでに副作用の報告がないから
これまでの使用実績で副作用の報告がないことも、ロイテリ菌を使ったバクテリア健康法に副作用がないことの根拠と言えます。
たとえば、スウェーデンにあるBioGaia社のロイテリ菌については、タブレットやドロップ、ストローなどとしてこれまでシリーズ累計80億食(2017年12月時点)販売され、病院の集中治療室でも使用されていますが、副作用の報告はありません。
したがって、ロイテリ菌を使ったバクテリア健康法にも副作用がないとされています。
根拠3)安全性試験で安全性が認められているから
バクテリアセラピーは、安全性試験でその安全性が認められています。
成人はもちろんのこと、未熟児やHIV感染者を対象とした試験でも、現在のところ副作用の報告はありません。
成人を対象とした試験では、18歳~75歳の健康な男性に、ロイテリ菌が21日間投与されました。血液や尿、便を採取して分析しても、問題は認めらませんでした。
未熟児を対象とした試験では、集中治療室で治療中の未熟児に、治療のためにロイテリ菌が投与されましたが、問題はなく、ロイテリ菌は安全で、副作用がないことが示唆されました。
HIV感染者を対象とした試験では、23歳~50歳のHIV感染者39名に、ロイテリ菌が21日間投与されました。血液や血清、尿の検査でも異常は見られず、HIV感染者にとってもロイテリ菌には副作用はないことが確認されました。
根拠4)アメリカ食品医薬局が認定しているから
アメリカ食品医薬局が安全と認定していることもロイテリ菌を使ったバクテリア健康法の副作用がないとされる根拠の一つです。
アメリカ食品医薬品局(FDA)は、『GRAS』と呼ばれる食品添加物の安全基準合格証を、副作用などのリスクがないと認められる食品添加物に与えています。ロイテリ菌は、このFDAによるGRAS認証に合格しています。
したがって、少なくともFDAは、ロイテリ菌に副作用がないことを認めていることになります。
根拠5)機能性表示食品として届け出がされているから
ロイテリ菌は、日本の消費者庁に対して機能性表示食品としての届け出がされています。
機能性表示食品は、FDAのGRASとは異なり、消費者庁の認定や許可を受けたものではありません。
しかし、機能性食品の届け出をするためには、その安全性や副作用がないことについて、国によって定められたルールに従い、十分に確認されていることが条件です。
ロイテリ菌は、このルールにおいて、副作用はないことが確認されています。
2. まとめ
ロイテリ菌を使ったバクテリア健康法には、以上5つの根拠により、「副作用はない」とされています。
バクテリア健康法は、未熟児から高齢者、さまざまな病気を抱えた人までが、安心して行うことができるとされています。
興味のある方は、ぜひロイテリ菌を使ったバクテリア健康法を試してみてはいかがでしょうか?
監修:森下 竜一 先生
大阪大学大学院医学系研究科臨床遺伝子治療学寄附講座 教授
医学博士。1991年大阪大学医学部老年病講座大学院卒業後、米スタンフォード大学客員講師、大阪大学助教授を経て、2003年より現職。米国高血圧評議会Harry Goldbratt賞、日本医師会研究奨励賞、日本循環器学会佐藤賞、産官学連携推進功労者表彰産官学連携文部科学大臣賞、大学発ベンチャー2016表彰文部科学大臣賞などを受賞。
また知的財産戦略本部本部員、健康・医療戦略本部戦略参与、日本万博基本構想委員、内閣府規制改革推進会議委員などを歴任。
日本血管認知症症学会理事長の他、日本抗加齢医学会、日本遺伝子治療学会などで副理事長を務める。著書に「アルツハイマーは脳の糖尿病だった」(共著)など。