いくら歯みがきをしても口臭が消えないように感じることはありませんか。もしかしたらその原因は、胃の調子の悪さにあるかもしれません。
口臭が起こる原因は、むし歯や歯周病といった口腔内のトラブルが多く占めますが、次に考えられるのが胃や腸などの内臓に原因があるケースです。実際、胃の調子が悪い時ほど口臭が起こりやすい傾向があります。
胃腸の不調で起こる口臭は、いくら歯みがきを頑張っても改善することはなく、胃の調子を整えることが先決になります。
そこで今回は、胃の不調による口臭を予防する方法をご紹介していきます。
1. 胃腸の調子が悪い時に口臭が起こる原因とは?
むし歯や歯周病が進行していないのに口臭が気になる場合、その臭いは胃の不調が原因かもしれません。
本来、口から入った食べ物は、胃の中で消化されたあと腸に送られて、体内に栄養分が吸収されますが、胃の調子が悪くなると胃酸が出にくくなるケースがあり、消化不良を起こしてしまいます。
結果として、未消化の食べ物が胃の中に長く停滞することになり、異常発酵して悪臭ガスが多く発生し、そのガスが肺を巡って、呼気として排出されたものが口臭の正体なのです。
胃腸が原因の口臭は「卵の腐ったような臭い」「ドブのような臭い」と表現されるほど、強烈な悪臭を放つのが特徴です。口の中に問題がないのにも関わらず、口臭が気になる場合は、胃腸の不調を疑ってみてください。
2. 胃腸の不調による口臭を予防する対策
胃腸の不調による口臭を予防するための対策を5つご紹介します。
胃腸の調子が悪い時は、次の5つの点に注意して毎日の生活を送りましょう。
方法1)暴飲暴食を避ける
方法2)バランスの良い食生活を心がける
方法3)胃腸の不調による口臭を予防する食品を食べる
方法4)胃腸の不調による口臭を悪化させる食品を避ける
方法5)ストレスを溜めない
方法1)暴飲暴食を避ける
暴飲暴食をしないように心がけましょう。食べ過ぎや飲み過ぎは胃腸に負担をかけ、消化不良を起こしやすくします。
また、一度にたくさんの食べ物や飲み物を摂取すると、食道の動きが弱まって、胃酸の逆流を招く恐れがあります。胃腸の不調による口臭を予防するには、食事を腹八分目に抑えることが大切です。
食べ過ぎ飲み過ぎは、早食いの人に多く見られ、脳の満腹中枢に刺激を与える前に食べ終わってしまうため、必要以上の食べ物を胃の中に押し込めてしまいがちです。
ゆっくり食べることを意識して、暴飲暴食を避けましょう。
食べ物はよく噛むごとに細かくなり、唾液と混じり合って消化しやすくなります。理想の咀嚼回数は、一口あたり30回です。慣れないうちは大変かもしれませんが、まずは飲み込む前に5回多く噛むことから試してみてください。
方法2)バランスの良い食生活を心がける
バランスの良い食生活を心がけることも大切です。胃腸の調子を整えるには、規則正しい食生活を心がける必要があり、偏食を避けて1日3食をバランスよく摂りましょう。
脂っこい食べ物は消化に時間がかかり、刺激物は胃腸を荒らす原因になります。特に、胃腸の不調を自覚している人は、アルコールやコーヒー、香辛料などの刺激物や脂っこい食品を控えましょう。
胃腸の調子を整えて口臭を予防するには、胃への負担が少ない和食中心の食事がおすすめです。腸内環境を整えるためにも、食品添加物が多く含まれるファストフードやコンビニ弁当を避け、新鮮な野菜や果物、発酵食品などを積極的に取り入れるようにしましょう。
方法3)胃腸の不調による口臭を予防する食品を食べる
胃腸の不調による口臭を予防する食品を積極的に食べるようにしましょう。
胃の調子を整える食品には、バナナ、リンゴ、ヨーグルト、大根、かぼちゃ、じゃがいも、ほうれん草、鶏のささみ肉、白身魚、味噌、納豆などがあります。
方法4)胃腸の不調による口臭を悪化させる食品を避ける
胃腸の不調による口臭を悪化させる食品を避けましょう。
胃腸を不調にする食品には、フライ、天ぷら、脂肪分の多い肉(ロースやバラ肉)、ケーキ、チョコレート、アルコール飲料、炭酸飲料、コーヒー、紅茶、こしょう、唐辛子、バター、マヨネーズ、などがあります。
方法5)ストレスを溜めない
ストレスを溜めないようにすることで、胃腸の働きを整えることができます。
過度なストレスは自律神経の働きを乱し、胃や腸の機能を低下させる可能性があります。
胃腸の不調からくる口臭を防ぐために、上手にストレスを発散させましょう。
軽いストレッチ体操をする、ゆっくりお風呂に入る、好きな音楽を聴くなど、まずは気軽にストレスを緩和できるところから始めると、継続しやすくなります。
3. セルフケアで改善しない時は早めに専門医に相談
セルフケアで胃腸の調子が改善しない時は早めに専門医に相談しましょう。
口臭が長く続くようであれば、ほかの大きな病気が隠れている可能性があります。
まずは歯科に行き、それでも解決しなければ胃腸科や消化器科を受診してみましょう。
4. まとめ
口の中にトラブルがないのに口臭が気になる人は、胃腸に原因があることが考えられます。
胃腸の不調からくる口臭を防止するには、生活習慣を見直すことが大切です。
バランスの摂れた食事と規則正しい生活を心がけましょう。
生活習慣を改めてもなかなか症状が改善しない場合は、何らかの病気のサインかもしれません。安易に自己判断せず、専門医に相談してください。
監修:森下 竜一 先生
大阪大学大学院医学系研究科臨床遺伝子治療学寄附講座 教授
医学博士。1991年大阪大学医学部老年病講座大学院卒業後、米スタンフォード大学客員講師、大阪大学助教授を経て、2003年より現職。米国高血圧評議会Harry Goldbratt賞、日本医師会研究奨励賞、日本循環器学会佐藤賞、産官学連携推進功労者表彰産官学連携文部科学大臣賞、大学発ベンチャー2016表彰文部科学大臣賞などを受賞。
また知的財産戦略本部本部員、健康・医療戦略本部戦略参与、日本万博基本構想委員、内閣府規制改革推進会議委員などを歴任。
日本血管認知症症学会理事長の他、日本抗加齢医学会、日本遺伝子治療学会などで副理事長を務める。著書に「アルツハイマーは脳の糖尿病だった」(共著)など。