一般的に唇の裏や舌にできやすいといわれている口内炎ですが、実は歯茎にもできてしまうことがあります。
10日~2週間程度ですぐに治るものもあれば、適切な治療をしないとなかなか治らないものもあります。
そこで今回は、そんな口内炎の種類や対処法についてご紹介します。
口内炎は身近な病気ですが、放っておくと症状が悪化してしまう危険もあるため、注意してください。
1. 口内炎とは?
「口内炎」とは、口の中や周辺の粘膜に起こる炎症の総称です。
見た目や大きさについてはさまざまですが、口の中であればあらゆる部分に発生します。
口の粘膜に腫れや赤みがみられることや、痛みを伴う複数の潰瘍がみられることがあり、口内炎がひどくなると痛みが強くなり食事を摂るのも難しくなります。
2. 歯ぐきにできる口内炎の種類
歯茎にできる口内炎といってもさまざまな種類があります。ここでは5種類に絞って症状をみていきましょう。
アフタ性口内炎
アフタ性口内炎は、いわゆる口内炎であり、疲労やストレスなどにより体調 が悪い時に発症しやすい最も一般的な口内炎です。
色が白色や黄白色、周りを囲うような赤みがあることが特徴で、形としてはおおよそ2~10mm程度の円形です。
小さなものであれば2~3個群がって発生することもありますが、多くは10日~2週間ほどで自然に消滅します。
刺激がなければ特に痛みを感じることがありませんが、食事などで物理的な刺激を受けると強い痛みを感じます。また、酸っぱいものや辛いものなど、刺激の強いものであれば、飲食物でも痛みが生じることがあります。
カンジダ性口内炎
カンジダ性口内炎は「カンジダ」という口内に常在しているカビ(真菌)が、体調不良などが原因で増殖することで発症します。白くて軟らかい、こけ状の斑点ができ、赤くただれるのが特徴です。
通常は、痛みがほとんど生じないかあまり気にならない程度ですが、潰そうとするなど傷つけようとすると痛みが生じてしまいます。
カタル性口内炎
カタル性口内炎は、入れ歯や矯正器具が接触した時に、細菌の繁殖や熱湯・薬品といった刺激などが原因で起こる口内炎です。口の粘膜が赤く腫れたり、水疱ができたりすることがあります。
また、唾液の量が増えて口臭が発生したり、口の中が熱く感じたりするといった症状がよく見られ、味覚がわかりにくくなる場合もあります。
ヘルペス性口内炎
ウイルス性口内炎の一種で、単純ヘルペスウイルスⅠ型が外部から感染した後、だいたい2~7日間の潜伏期間を経てから症状が出ます。小さい水ぶくれがたくさんでき、患部周辺は赤くただれて、激しい痛みと発熱を伴うのが特徴です。
痛みが強く、刺激が強いものは食べられなくなることもあります。
ニコチン性口内炎
ニコチン性口内炎は、喫煙をすることによって起こるもので、症状としては口蓋(口内の天井にあたる部分)が白くなります。
痛みを伴うことはありませんが、辛いものなど刺激の強い食べ物だとしみることがあります。
3. 種類別・歯茎にできる口内炎の対処法
ここからは、先ほどご紹介した口内炎への対処法を説明していきます。
口内炎の種類によっては、個人で対処できるものもあれば、病院でなければ治療が難しいものもありますので、可能であれば専門医の指示を仰ぐようにしてください。
また、2週間以上症状が改善されない場合は、病院に行くことをおすすめします。
アフタ性口内炎への対処法
アフタ性口内炎の原因の1つとしてビタミン不足が考えられるため、意識的に摂るようにしましょう。ビタミンの中でも、ビタミンB2、B6、Cを適切に摂取することで早期改善が期待できます。
また、睡眠不足やストレス・疲労などの生活習慣の問題も原因となりますので、十分な睡眠時間を取り、リフレッシュする機会を設けることが、適切な対処法になります。
アフタ性口内炎&カタル性口内炎への対処法
カタル性口内炎ができた場合は、口腔内を清潔にすることが大切です。例えば、歯みがきのやり方を見直す、口の中の菌環境を整えるなど、口腔内を清潔に保つよう心がけましょう。
口腔内を清潔にすることは、先ほどのアフタ性口内炎にも有効です。
カンジダ性口内炎&ヘルペス性口内炎への対処法
カンジダ性口内炎やヘルペス性口内炎は、自分自身で対処するよりも、病院へ行くことが先決です。
カンジダ性口内炎は放置しておくと白い苔が口の中に広がるため、病院で適切な治療を受ける必要があり、ヘルペス性口内炎は2週間程度で症状が治まるものの腫れと強い痛み、熱が生じることが多いので、病院での治療をおすすめします。
病院で治療した後の予防策として、口腔内を清潔に保つよう心がけるようにしましょう
ニコチン性口内炎への対処法
ニコチン性口内炎は喫煙をすることによって起こる口内炎であるため、口の中を清潔に保つことも有効ですが、根本的な対策としては禁煙が最優先です。
口内炎に限らず、禁煙にはさまざまな効果があるため、自分ではなかなか禁煙ができない場合は、禁煙外来に相談してみてはいかがでしょうか。
4. 歯ぐきの口内炎が治る気配がないときの対処法
意識的に生活習慣や口腔ケアを見直しても、一向に口内炎が改善しない場合や、いつもと違う感じがする場合は、歯肉ガンや急性壊死性潰瘍性歯肉炎など口内炎に似た別の病気である可能性もあります。
対処法を行ってから2週間以内に改善の兆しが見られなければ、口腔外科など医療機関を検診するようにしましょう。
4. まとめ
今回は、口内炎の種類やその対処法についてご紹介しました。
世間的にはビタミンが足りないから口内炎ができるとよく言われがちですが、口内炎の種類によってその原因は様々です。
自分自身の判断だけでなく専門医による検診を受け、適切な処置をするようにしましょう。
監修 森下 竜一 先生
大阪大学大学院医学系研究科臨床遺伝子治療学寄附講座 教授
医学博士。1991年大阪大学医学部老年病講座大学院卒業後、米スタンフォード大学客員講師、大阪大学助教授を経て、2003年より現職。米国高血圧評議会Harry Goldbratt賞、日本医師会研究奨励賞、日本循環器学会佐藤賞、産官学連携推進功労者表彰産官学連携文部科学大臣賞、大学発ベンチャー2016表彰文部科学大臣賞などを受賞。
また知的財産戦略本部本部員、健康・医療戦略本部戦略参与、日本万博基本構想委員、内閣府規制改革推進会議委員などを歴任。
日本血管認知症症学会理事長の他、日本抗加齢医学会、日本遺伝子治療学会などで副理事長を務める。著書に「アルツハイマーは脳の糖尿病だった」(共著)など。